大阪地方裁判所 平成10年(ワ)4325号 判決 1999年11月09日
原告
平澤悦子
被告
岡田恭宙
主文
一 被告は、原告に対し、一八一万一六三三円及び内金一六四万一六三三円に対する平成八年一二月一九日から支払済みまで年五分の割合による金員を支払え。
二 原告のその余の請求を棄却する。
三 訴訟費用は、これを五分し、その四を原告の、その余を被告の負担とする。
四 この判決は、第一項に限り、仮に執行することができる。
事実及び理由
第一請求
被告は、原告に対し、九一八万二九四四円及び内金八三四万二九四四円に対する平成八年一二月一九日から支払済みまで年五分の割合による金員を支払え。
第二事案の概要
本件は、原告運転の普通乗用自動車(京都五四ほ七五四六、以下「原告車両」という。)と被告運転の普通乗用自動車(なにわ五〇ろ九二七七、以下「被告車両」という。)が衝突した事故(以下「本件事故」という。)に関し、原告が、右事故により負傷したとして、民法七〇九条に基づき、被告に対し、損害賠償を請求した事案である。
一 争いのない事実
1 本件事故発生前、東西に走る道路(以下「中央大通り」という。)を東に向かって走行していた原告車両は、本件事故現場に通ずる南北に走る道路(以下「本件道路」という。)に進入するため、中央大通りを左折した。その際、中央大通りの対向車線に被告車両が右折のため停止しており、原告車両の左折後、被告車両が右折して、本件道路に進入した。
2 平成八年一二月一九日午前六時一〇分ころ、大阪市城東区森之宮一丁目六番四〇号先路上において、被告車両の左側前部が原告車両の右側中央部付近に衝突した。
3 原告は、平成九年八月四日、本件事故による損害のてん補として、自動車損害賠償責任保険金九六万円を受領した。
二 争点
1 事故の態様、被告の責任及び過失相殺
(原告の主張)
本件道路は、中央分離帯で区分された片側二車線からなる道路であるが、被告車両は、本件道路の右側車線を走行する原告車両の後方を加速しながら走行していたところ、原告車両が右折旋回のため、右折の方向指示器を点滅させ右折旋回しようとしていたのを認めながら、前方を注視し、適宜減速して十分な車間距離をとるなど原告車両との追突を避けるための適切な措置をとるべき注意義務があったのに、これを怠り、漫然と走行した過失がある。なお、本件事故の発生につき、原告に過失があるとしても、過失割合が四割を超えることはない。
(被告の主張)
原告車両は、本件道路の左側車線を走行し、本件事故現場で右折旋回しようとして、右折の方向指示器を出さずに、右側車線を走行する被告車両の前方を塞ぐ形で急に車線変更をしたため、衝突したのであり、被告が遅滞なく制動措置を講じたとしても、右衝突は不可避であったから、被告に過失はない。仮に被告に過失が認められるとしても、被告の過失は僅かである。
2 損害
(一) 本件事故と損害との因果関係及び寄与度減額
(原告の主張)
原告は、昭和五八年の交通事故で頸部及び腰部に後遺障害別等級表一四級一〇号の後遺障害を負ったが、この後遺障害はその後回復し、平成八年夏にも交通事故に遭ったが、全く怪我は負わず、本件事故までは頸部及び腰部に何ら異常がないまま通常の生活を送っていた。したがって、原告の受傷及びそれに基づく損害はすべて本件事故に起因するものである。
(被告の主張)
原告は、昭和五八年一二月一八日の交通事故により、頸部及び腰部に後遺障害別等級表一四級一〇号の後遺障害を負っており、本件事故により原告が負ったと主張する頸部と腰部の椎間板ヘルニアは右の昭和五八年の交通事故によって生じた可能性が高い。また、原告が訴える痛みやしびれの症状も、相当程度、右の昭和五八年の交通事故で負った後遺障害に起因していると考えられる。さらに、カルテの記載からは、原告が本件事故の損害賠償問題がいずれ裁判になることを予想して通院していたことが伺われ、原告が医師に訴えていた痛みやしびれは裁判になることを前提とした心因的要素に起因する部分もある。実際、大阪地方検察庁の病状照会書に対する担当医の回答書には、原告の受傷と本件事故との因果関係は不明と記載されている。したがって、原告の主張する受傷及びそれに基づく損害と本件事故との間には因果関係がないか、原告の既往症及び心因的要素に基づく寄与度減額がなされるべきである。
(二) 原告の受傷
(原告の主張)
原告は、本件事故により、頸部・背部・腰部捻挫の傷害を負い、平成九年九月一八日、症状が固定し、右各捻挫及び頸椎・腰椎椎間板ヘルニアの後遺症が残った。
(被告の主張)
一般に、追突により腰部に損傷が生ずることは考えにく、原告の腰部に関係する症状は、本件事故前の交通事故によるものであり、本件事故により生じたものではない。
(三) 休業損害
(原告の主張)
原告は、本件事故発生日から平成九年九月一八日までの二七四日間休業を余儀なくされた。カルテに記載されている「仕事」とは、本件事故当時勤務していたスナックでのホステスの仕事ではなく、同居人が原告方で開設していた事務所の電話番の仕事である。また、ホステスの仕事は完全な給料制であるので、控除されるべき経費はない。
(被告の主張)
カルテの記載によれば、原告は、原告の主張する休業期間中、相当早期から勤務先のスナックに出勤しており、原告の主張する全期間、休業していたわけではない。したがって、原告には休業損害が発生していないか、若しくは原告が主張する程度の休業損害は発生していない。また、ホステスという職業には、洋服代、化粧代、美容院の費用等、確実に必要とされる経費が存在するから、仮に完全な給料制であったとしても、右経費は収入額から控除されるべきである。
第三争点に対する判断
一 事故態様、被告の責任及び過失相殺
1 前記争いのない事実及び証拠(甲一、甲一〇、甲一一、乙二、乙七、乙一一、原告本人、被告本人)及び弁論の全趣旨によれば、以下の事実が認められる。
(一) 原告は、本件事故当日の午前六時一〇分ごろ、原告車両を運転して自宅に帰る途中、中央大通りを左折した。本件道路は、中央分離帯で区分された片側二車線からなる道路であるが、原告車両は、本件道路の右側車線に入り、続いて、中央大通りを右折した被告車両も同じ本件道路の右側車線に入った。
(二) 原告は、中央分離帯が一部途切れた状態となっている本件事故現場で右折旋回するため、本件事故現場のかなり手前から右折の合図をして、減速して本件事故現場に近づいたが、右前方の反対車線に駐車車両を認めたので、円滑に右折旋回するため、ハンドルを一旦、車体の前部が左側車線にはみ出るくらいまで左に切った上で、右折旋回のため、大きく右にハンドルを切った。一方、被告は、本件事故現場の六〇メートル位手前の信号機のある横断歩道の手前で、横断歩道を渡る歩行者がいないかどうか確認するため、一旦やや減速した後、右横断歩道を通過したところから加速して時速約五〇キロメートルで、本件事故現場に近づいたところ、折から、本件事故現場で、原告車両が右折旋回しようと、一旦左にハンドルを切った際、大きく左にハンドルを切りすぎたため(そのため、その際、併せて、右折の合図が途絶えた可能性がある。)、被告は、原告車両が本件道路の左側車線に車線変更をするつもりであると誤解し、そのため、被告車両が原告車両の左側を通過できるものと誤信し、直進したところ、その後、原告車両が右折旋回のため、大きく右にハンドルを切ったため、原告車両に追突の危険を感じて、ブレーキを踏むと同時にハンドルを少し右に切って追突を回避しようとしたが間に合わず、被告車両の左側前部が原告車両の右側中央部付近に衝突したものである。原告車両はその衝撃でやや北側に移動して停止した。なお、その際、原告の体は衝突の衝撃で運転席左側のサイドブレーキの位置までスライドして移動した。
2 これに対し、被告は、原告車両が本件道路の左側車線を走行していて、右折の合図も出さずに、急に右側車線に車線変更した、右前方の反対車線に駐車車両はなかったとして、被告には、本件事故の発生につき、過失がない旨主張し、これに沿う供述(乙一一、被告本人。乙三の指示説明も同じ。)をするが、本件事故当時、本件道路の左側車線に多数の駐車車両が存在したこと(甲一一、原告本人)、本件事故現場の近くに居住している原告は本件道路の事情に通じていたと考えられること、原告のように、中央大通りから本件道路へ左折後五〇〇メートル余り進行して右折旋回するつもりの運転者なら、左折後すぐに本件道路の右側車線に入り右折旋回のための準備をしておくのが通常であると認められること、原告の、右折旋回後の右前方の車線に駐車車両があったので、一旦左にハンドルを切ってから右折旋回を開始したとの主張は合理的であり、なおかつ、一貫していること、平成九年二月七日の実況見分(乙二)の際、原告が右のように指示説明したのに対し、被告は、格別異議を唱えるなどしていないこと、本件事故直後、被告は、原告の求めに応じて、任意に「保険のでない金額は、全額負担します。」との内容の念書を作成し、署名して、原告に交付したこと(事故の態様が被告の主張のとおりであれば、基本的に原告に過失があり、被告が物損についてとはいえ、全面的な負担を負うがごとき約束をするはずがない。)等の事情に照らし、被告の前記供述は信用できず、他に被告の右主張を認めるに足りる証拠はない。
3 以上により、被告には、原告車両が進路前方で右折旋回しようとしていたのに、原告車両の動静の確認を怠ったため、原告車両が左側車線に車線変更するものと誤解し、原告車両の左側を走行できるものと軽信して、減速等することなく、直進走行した過失がある。
他方、前記認定のとおり、原告車両は、右折旋回のため、一旦左にハンドルを切る際、大きく切りすぎたので(そのため、その際、併せて、右折の合図が途絶えた可能性がある。)、後方から追従してくる被告車両に原告車両が本件道路の左側車線に車線変更をするつもりであると誤解させ、そのため、被告車両が原告車両の左側を通過できるものと誤信し、直進したところ、その後、原告車両が右折旋回のため、大きく右にハンドルを切ったため、被告車両の左側前部が原告車両の右側中央部付近に衝突したものである。したがって、原告においては、後続車に左側車線への車線変更と誤解させることのないよう慎重に右折旋回すべきであったのに、これをしなかった点において、原告にも過失がある。
そして、本件事故の態様、原・被告の過失の内容、程度等に照らし、両者の過失割合を検討すると、原・被告にそれぞれ五割の過失があると認めるのが相当である。
四 損害
1 本件事故と損害との因果関係及び寄与度減額
(一) 前記一で認定した事実及び証拠(甲二、甲七、甲九、甲一一、乙五、乙六、乙九、原告本人)及び弁論の全趣旨によれば、以下の事実が認められる。
(1) 本件事故前の原告の状況
原告は、昭和五八年一二月一八日、停止していた普通乗用自動車の助手席にシートベルトを締めずに乗っていて、後ろからトラックに追突されるという交通事故に遭い、むち打ちと診断され、頸部及び腰部に後遺障害別等級表一四級一〇号の後遺障害の認定を受けた。しかし、事故直後には首に痛みを感じることもあったが、それも長続きすることはなく、消失し、その後、原告は頸部及び腰部に異常を感じることがないまま通常の生活を送っていた。その後、平成八年夏ころ、原告は、追突事故に遭ったが、怪我は負わなかった。
(2) 本件事故直後の原告の状況
本件事故直後は、首、腕及び腰に少し痛みを感じる程度だったが、事故当日の午後には、微熱、頭痛、体の痛みを感じるようになり、その状態がしばらく続いた。平成八年一二月二六日、原告は高熱が出て、吐き気も覚えたので、医療法人淳良会関目病院(以下「関目病院」という。)で受診し、同病院で頸部・背部・腰部捻挫と診断された。知覚能力や運動能力には特に問題はみられなかった。
(3) 原告の症状の経過
原告は、首、背中及び腰の痛み・しびれ、手足のしびれ・けいれんなどの症状があり、特に腰痛は寝返りしただけで痛みで目が覚めるほどであった。平成九年一月二三日、MRI検査により、頸椎と腰椎に椎間板ヘルニアが認められた。平成九年二月ころからはめまいも生じるようになった。
その後も原告の症状は改善せず、平成九年九月一八日、症状が固定した。原告の自覚症状としては、腰痛、両下肢のしびれ、歩行時の両下肢の痛み、頸肩痛、頭痛、左肩から上肢のしびれ、疼痛による両股開排制限があり、他覚症状として、頸部については、運動制限は認められないものの後屈の際の疼痛、左頸肩痛・しびれ感、椎間板ヘルニアがあり、腰部については、左ラセグーが陽性であり、両大腿痛、右股関節開排時痛、椎間板ヘルニアがある。
(二) 以上の事実を前提にして、本件事故と傷害との因果関係及び既往症等による寄与度減額の可否を検討するに、原告は、本件事故前は特に痛みやしびれを訴えることなく、通常の生活を送っていたのに、本件事故を契機として右のような諸症状を訴えるようになったこと、腰部には左ラセグー陽性という明らかな神経症状が認められること、その他原告の症状の推移を勘案すれば、本件事故を契機に原告の諸症状が発現したと認められ、本件事故と原告の傷害との間には因果関係がある。
しかしながら、原告につき、後遺障害別等級表一四級一〇号の後遺障害が認定された昭和五八年の交通事故以来、本件事故に至るまでに既に一三年経過していること、本件事故発生前には右後遺障害による自覚症状はなかったこと、後遺障害別等級表一四級一〇号程度の後遺障害の存続期間は、一般にさして長いものではないこと、担当医は、本件事故前の右後遺障害と原告の現在の症状との関係は全く不明としていること(甲九)等によれば、現在の原告の症状が、本件事故前の既往症の影響によるものであるというべき根拠はない。また、本件において、とりたてて、原告の現在の症状に心因的な要因による影響があるというべき根拠もない。なお、カルテ(乙九)の記載によると、原告は、受傷の直後よりも、その後において、次第に症状の訴えが重くなっているように見受けられるが、そのすべてが裁判対策のための誇張した訴えであるとまでいうことはできない。
2 後遺障害の程度及び存続期間
原告の後遺障害は、前記認定のとおり、頸部に椎間板ヘルニア、腰部に左ラセグー陽性及び椎間板ヘルニア等の他覚症状が認められるが、その症状の程度、原告が受傷後、比較的早く働きに出るなどしていること等に照らせば、原告の前記症状は、後遺障害別等級表第一四級一〇号の「局部に神経症状を残すもの」に該当するものと認められる。
存続期間については、後遺障害の症状のうち自覚症状の占める割合が少なくないこと等を考慮して、症状固定時(平成九年九月一八日)から三年間に限り存続すると認めるのが相当である。
3 損害額
(一) 治療費等(主張額六九万一八二〇円)
証拠(甲六)によれば、原告は、本件事故時から症状固定に至るまでの間、治療費等として六九万一八二〇円を要したことが認められる。
(二) 休業損害(主張額三九九万〇二六二円)
証拠(甲三)によれば、原告は、本件事故当時、一日当たり一万四五六三円の収入を得ていた。
休業期間に関し、原告は、本件事故時から症状固定時(平成九年九月一八日)までの間(二七四日)、ホステスの仕事を休業したと主張する。しかし、カルテ(乙九)の仕事に関する記載は、「している」ではなく「行っている」こと(平成九年一月二二日)、「調子の良いときは」行っていること(平成九年二月三日)、「時間を短くして」(平成九年四月二一日)する仕事であること等その表現の仕方から判断して、原告主張のような自宅での電話番の仕事を指しているのではなく、被告主張のようにスナックでのホステスの仕事を指していると考えるのが相当である。そして、カルテの記載は原告の話したことを医師がそのまま書き留めたものと解されるから、原告は右期間中も何日間かはホステスの仕事をしていたものと認められる。そして、右認定の事実、原告の症状の程度等に照らせば、右二七四日間のうち、全体の六割をもって本件事故と因果関係のある休業期間と認めるのが相当である。
経費に関し、証拠(乙八、乙一三、原告本人)及び弁論の全趣旨によれば、ホステスという職業には、洋服代、化粧代、美容院の費用等確実に必要とされる経費が存在し、原告はそのための特別の手当等を勤務先から受け取っていなかったから、原告の給与収入のうち二割五分を経費として控除するのが相当である。
したがって、原告の休業損害は、以下のとおり一七九万五六一七円となる。
14,563×274×0.6×0.75=1,795,617
(円未満切り捨て)
(三) 後遺障害による逸失利益(主張額七〇九万二八二六円)
原告は、症状固定時、前記認定した一日当たり一万四五六三円の収入を得られたものと認められるところ、前記認定のとおり、本件事故により後遺障害別等級表一四級一〇号の後遺障害を負い、三年間にわたって、五パーセントの労働能力を喪失したと認められるから、年五分の割合で、新ホフマン方式により中間利息を控除して、後遺障害による逸失利益を算定すると、以下のとおり、七二万五八三〇円となる。
14,563×365×0.05×2.731=725,830(円未満切り捨て)
(四) 慰謝料
(1) 傷害慰謝料(主張額一〇九万円)
原告の受傷の程度、症状固定までの約九か月にわたる通院の事実、その他一切の事情を考慮するとき、傷害慰謝料は一〇九万円と認めるのが相当である。
(2) 後遺障害慰謝料(主張額二四〇万円)
前記認定した後遺障害の内容、程度等を考慮すれば、九〇万円が相当である。
(3) 被告の不誠実な交渉態度に基づく慰謝料(主張額二四万円)
前記のとおり、被告は、本件事故直後、原告に対し、「保険で出ない金額は全額負担します。」という内容の念書を書いたものの、証拠(原告本人)によれば、被告は、その後の原告との交渉では、任意保険による保険金の支払いにも同意せず、話し合いによる解決には消極的な態度をとっていたものと認められる。原告は、本件事故により肉体的・精神的苦痛を受けていたのに加え、被告の右のような交渉態度により、さらに、一定の精神的な苦痛を味わったことは想像できないでもない。
しかしながら、右念書は事故直後の多少なりとも精神的に動揺していた時に、事後のことを熟慮せずに書かれたものと想像できること、原告に対し怒号したのは被告の父親や自動車修理会社の者であって、被告自身が怒号したような事実は証拠上認められないこと、したがって、被告のとった交渉態度も社会通念上許容しうる範囲を超えて新たに原告に対する不法行為を構成するようなものとは認められないこと等の事情を考慮すれば、被告の交渉態度を理由として慰謝料を認めることはできないと解するのが相当である。
(五) 以上の損害額合計は、五二〇万三二六七円であるが、前記認定した五割の過失相殺をし、原告が既に損害のてん補として受領した保険金九六万円を控除すると、一六四万一六三三円(円未満切り捨て)となる。
(六) 弁護士費用(主張額八四万円)
本件事案の内容、難易度、審理期間、認容額を考慮すると、弁護士費用として、一七万円が相当である。
五 以上により、原告の請求は、一八一万一六三三円及び内金一六四万一六三三円に対する不法行為の日である平成八年一二月一九日から支払済みまで民法所定の年五分の割合による遅延損害金の支払を求める限度で理由があるから、主文のとおり判決する。
(裁判官 中路義彦)